近年、「むし歯予防にキシリトールを」との言葉をよく目にすると思います。
キシリトールはトウモロコシの芯や白樺の樹皮などに含まれる天然の甘味料で、むし歯の原因になりません。
しかし、それだけがキシリトールの効果なのでしょうか?
今回はキシリトールの本当の効果、摂取法についてお話したいと思います。
キシリトールの効果には以下のものが挙げられます。
むし歯の原因菌であるミュータンス菌は糖を利用しプラークと酸を産生します。
ミュータンス菌はキシリトールも取り込むことは可能ですが、それを活動するエネルギー源として使用することができず、酸もプラークも産生されません。
結果的にミュータンス菌はエネルギーが無いので減ってしまいます。
また、キシリトールの甘さで唾液が多く分泌され、唾液中のカルシウム濃度を安定させるため、再石灰化を助けます。
このように継続的に摂り続けている事で歯磨きの手助けになるのがキシリトールなのです。
それではどのようなキシリトールの摂り方が望ましいのでしょうか?
キシリトールは一日5~10グラムの摂取でむし歯予防に効果が出ると言われています。
キシリトール100%のガムで一日3〜10個です。ガムが噛めない幼児や高齢者はタブレット(ラムネ)などで摂取しましょう。
毎食後に摂取するのが習慣化するには良いと思われます。
キシリトールの効果は摂取開始1〜2週間後にプラーク量が減るというかたちで現れ、3か月続ける事でむし歯になりにくい状態になります。
ただし大量に摂取しても効果はほとんど変わらず、逆にお腹を緩くしてしまうので注意が必要です。
キシリトール100%のガムは歯医者さんでしか購入できません。
歯医者さん以外で購入される場合はキシリトールの含有量を確認してみましょう。
また、キシリトールを摂取していれば歯磨きをしなくて良いというわけではありません。
毎食後の歯磨きは欠かさず行いましょう。
また、キシリトール入りのガムは歯につきにくく、詰め物や矯正装置が入っている方でも安心して噛んで頂くことができます。
特に矯正装置の周囲にはプラークがたまりやすく歯磨きが難しくなります。
キシリトールでプラークを落としやすくしておく事で矯正装置を清潔に保つ事ができ、治療がスムーズに進みます。
少しの習慣で大きな予防効果を生むのがキシリトールです。
小さな子どもにも美味しく楽しくむし歯予防ができます。
皆さんもキシリトールを日々の歯磨きにうまく取り入れて下さい。
<参考文献>
「マイナス1歳」から始めるむし歯予防 仲井雪絵著 オーラルケア