主訴 |
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診断名 | 一級叢生 |
装置名 | マルチブラケット装置 |
抜歯部位 | 上下両側第二小臼歯(第二期治療時) |
期間 |
第一期治療 12ヶ月 成長観察期間 24ヶ月 第二期治療 18ヶ月 |
費用 | 1,000,000円 |
治療のリスク | ②−3歯科矯正治療の過程において、歯の移動のための空隙創出のため、歯の抜歯や切削が必要となる場合、又は望ましい場合があります。 |
症例の流れ
(左・中)骨格的な問題は前後的にはありませんでしたが、上下とも顎が小さく前歯が並びきらない事を心配し来院されました。
(右)上下とも前歯が大きく、凸凹に並んでいますが、それでも上顎には乳歯から永久歯の交換が行われた直後だった為か若干のスペースを確認する事ができました。
(左)下顎は小さく、歯も詰まっているため明らかにスペース不足が見受けられます。
(中)そこで上顎は下の歯列と噛み合なくなる可能性があったので無理な拡大は行わず余っているスペースを利用しながらの排列を試みました、臼歯部には固定源を設けています。
(右)下顎はわずかな拡大が必要だったためバイヘリックスという装置を用い歯列を広げたのちに排列しました。
前歯部のみの排列ですが前歯だけでなく臼歯部にも徐々に咬合が得られている事が分かります。
上下とも第一期治療終了時には前歯部の綺麗な排列がなされました。
この時点では今後の第二次成長で第二大臼歯の萌出スペースが獲得できれば第二期治療は非抜歯で対応できるかもしれないと説明を行いました。
(左)しかし、実際は顎骨がそれほど大きくならず、第二大臼歯の生えるスペースが獲得できませんでした。リテーナーの使用を途中でやめてしまったので上顎の歯列は若干の後戻りが見られます。
(中)上顎の後方はスペースが無いため第二大臼歯が未だ萌出していません。
(右)下顎はかろうじて第二大臼歯が萌出していますが、やはりスペースが不足しているため、後方は歯肉が被ってしまっています。
そこで再度十分に説明を行い第二期治療では上下左右の小臼歯の抜歯を行い永久歯列の排列を目指しました。
(左)上下ともマルチブラケット装置装着後に抜歯を行いました。基本、上下前歯の前後的な位置はキープし、大臼歯の位置を前方に移動させることにしました。上顎は抜歯をした事で第二大臼歯が萌出してきました。
(右)顎は抜歯により第二大臼歯が前方に移動してきて歯肉の被覆が無くなりました。
大臼歯の前方への移動が進み、上顎第二大臼歯の萌出がほぼ終了したためブラケットを装着し排列しました。
(左)装置撤去時の写真です。正面から見ると十分なバイトを得ることができました。
(中・右)抜歯をしたことで綺麗に歯が収まり、緊密な咬合を得ることができました。
初診、第二期治療開始、第二期治療終了時の重ね合わせです。
本当は二期治療では矯正用インプラントを用い垂直的なコントロールが行えれば良かったのですが使用の了解を得られなかったため、下顎骨が時計回りに回転し、顔面長が増加した事が認められます。
様々な治療法が考案され、これまで難しかった非抜歯治療に関しても達成できる目標になった症例も多々あると思います。
しかしそれでも抜歯治療の全てが否定された訳ではなく、この症例のように小臼歯抜歯が最良の選択となる場合もあります。
当院では何が何でも非抜歯治療を勧めるという訳ではありません。
便宜的な抜歯が必要なケースでは抜歯の必要性について解りやすく解説したいとおもっています。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して