乳歯が抜けたら…、上の歯は縁の下に投げ、下の歯は屋根の上に投げよう。これは丈夫な永久歯が生えてくるよう願いを込めた昔から日本に伝わる習慣です。しかし、海外ではどうでしょう?
今回は乳歯が抜け、永久歯が生えてきた時の「おまじない」についてお話しようと思います。
欧米でも大人の歯が生えてくる時に込める願いに変わりはありません。アメリカやイギリスの子ども達は乳歯が抜けるとその乳歯を枕の下に置いておきます。すると寝ている間に枕元に歯の妖精(トゥースフェアリー)が現れ、乳歯をお金(5ドルくらい)と交換してくれるそうです。
子ども達は乳歯が抜けるのは痛いけど、お小遣いがもらえるので歯が抜けるのを心待ちにしています。また、フランス、スペインの俗信ではこのトゥースフェアリーがちびネズミに変わっており、同様に抜けた乳歯を枕元に置いておくとコインに交換してくれます。歯が強いネズミにあやかっているようです。
この俗信の歴史は浅いようですが欧米では広く信じられており、トゥースフェアリーやちびネズミに関する絵本、おもちゃも売られています。
また、お父さん、お母さんにとっても子どもの乳歯が抜け、永久歯が生えてくるのは喜びと共に不安があるようです。特に永久歯への交換についてよくある相談は、
などがあります。
まず、歯の交換はあくまで基準となる時期は存在しますが実際は身体の成長とは相関性が無いと言われています。しかし、他の子と比べあまりにも交換するのが遅い(およそ2年以上)、もしくは乳歯が抜けたにもかかわらず半年以上も永久歯が生えてこないなど異常を感じたら、レントゲンを撮るなど永久歯の存在を確認してもらうのが良いと思います。
また、下の前歯でよく確認されますが乳歯が抜けてないうちから永久歯が後方(舌側)から生えてくることがあります。エスカレーター萌出とも言われ、歯列の後方から生えてきて舌の押す力により乳歯の歯根を吸収し脱落させながら歯列に取り込まれていきます。
しかし、最初に生えてきた場所があまりにも内側にあると乳歯の歯根を十分に吸収する事ができず、乳歯がグラグラの状態で残ってしまいます。必要な場合はレントゲンを撮って確認してもらった上で乳歯を抜いてもらうのが良いでしょう。
後方に位置している永久歯は舌で押される事により歯列に取り込まれます。しかし、乳歯を抜けばすべからく綺麗な歯並びになる訳ではなく、歯が収まるだけの十分なスペースが無ければ歯列に取り込まれず前歯の並びが凸凹(叢生)になります。その後の歯並びについては矯正治療の必要があるかもしれません。
どんな子どもも乳歯が抜けるときの痛みは嫌な経験です。大人の歯が生えてくるのを楽しみにしてくれるといいですね。