主訴 |
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診断名 | 上顎前突、叢生 |
装置名 | パーシャルブラケット装置 |
抜歯部位 | 無し |
期間 | 第一期治療 12ヶ月 |
費用 | 450,000円 |
治療のリスク | ③-8矯正治療装置の素材によるアレルギー反応が生じる場合があります。 |
症例の流れ
(上左)奥歯が倒れて生えてきている事を近医で指摘され来院された患者さんです。
(上中)よく見ると上顎の右側第一大臼歯が前の歯に倒れ込むように生えており、不完全な状態で頭を出しています。
レントゲンを確認してもらうとより分かるとおもいます。
(下)その他の問題点としてはやや出っ歯であるところ、下顎にもスペース不足が予測される事が気になりました。
アトピー性皮膚炎の既往があったので、念のため金属アレルギーの有無を確認する事にし、パッチテストを皮膚科にてお願いしました。すると鉄、○○にアレルギー陽性反応がありました。矯正治療を行うためには当然、金属の材料を使う事になり、中でも鉄と○○は矯正材料において必須の原料になります。
そこで「鉄と○○を使用しない」という選択でなく、「なるべく鉄と○○に触れさせない」という治療方法を選択しました。アレルギーフリーの材料を使用できるところはなるべくそれを使用し、どうしてもそれが無理であれば金属にコーティングを施した材料を使用することにしました。本来の目的とは異なりますが、審美性を意識したホワイトコーティングワイヤーがそれにあたります。
なるべく治療を早く切り上げたいということと、口の中に入る金属の量も減らしたいということもあり、下顎の改善については二期治療に行うことにしました。
(上)にあるようにアレルギー関連物質を使用する場合はホワイトコーティングワイヤーを選択し、(中)のように関連物質と関係無い材料は積極的に使用しました。奥歯に装着した装置はチタンでできています。倒れ込んだ奥歯は始めにテコの原理を応用して頭を起こし、途中からはバネを用いて位置の改善を行いました。途中で前歯も生えてきたので一緒に並べ出っ歯の改善も行っています(下)。
(上左)装置撤去後の写真です。
(上中・上右)奥歯の倒れ込みも改善し、左右の臼歯の前後的位置はほぼ対称になりました。
前歯の出っ歯も改善し(下左)。リテーナー(後戻り防止装置)もアレルギーフリーで対応しています(下中・下右)。
矯正治療中のアレルギー症状もほぼ出る事が無く、快適に治療を終えることができました。今回は第一期治療であったため、このような対応になりましたが成人であれば透明のマウスピースを用いるアライナー矯正も選択する事ができます。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して