主訴 |
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診断名 | 下顎前突 |
装置名 | 上顎前方牽引装置 |
抜歯部位 | 無し |
期間 | 第一期治療 18ヶ月 |
費用 | 450,000円 |
治療のリスク | ③-3重度の開咬、過蓋咬合、およびそれらを含む骨格性の不正咬合の治療は、複数の治療法を併用する場合があります。 |
症例の流れ
(上左)受け口、でこぼこ歯、正面から見ると顎が横に曲がっていることを気にして来院された患者さんです。口の中を正面から見ても明らかな反対咬合で著しいでこぼこ歯である事が確認できます。
(上中)正面から見た噛み合わせは向かって右側にずれています。横顔でも下あごが前に出ているのは明確で、骨格的な反対咬合であると考えられました。
(上右)また、判りにくいですが顔を正面から見ると下あごが向かって右側にずれています。
(下左)奥歯の噛み合わせも反対咬合の兆候があり、(下中)上あごの歯は狭く前歯の一本が大きく歯列から外れています。
(下右)下あごの歯も歯列は綺麗に見えますが狭いです。
治療計画としてはまず上あごを側方に拡大した後、上あごを前に出す装置を用いて前方に誘導し噛み合わせを改善、その後に前歯を並べると言う計画を立てました。下あごが横に曲がっている事に関しては、なるべく図のような歯のポジションを治療と平行しながら練習させることにして(写真)、なるべく真ん中で噛める事を覚えさせました。下あごの狭さに関してはとりあえず第二期治療で改善する事にしました。
(左)まずは図のような装置を装着し、歯列を側方に拡大していきます。
(中)3ヵ月後、まだ前歯の一部は引っ込んでいるものの拡大は十分になされました。
(右)あごのポジションの練習も効果があったようで、噛み合わせの右側へのずれも改善されています。
(左)次の段階の治療として顔にマスクを装着してもらい上あごを前方に誘導し、噛み合わせの改善を行いました。
(右)マスクは家の中だけ(就寝中も含む)での使用にしてもらい、外出先(学校、旅行など)での使用は中止してもらいました。口の中の装置も途中で交換しました
(上左・上中)ある程度、受け口の噛み合わせが改善したところで今度は前歯の並びを改善しました。
(上右)裏側の太いワイヤーにバネを付けて引っ込んでいる歯を前に押し出し、(下)その後ワイヤーを表から装着し並べました。
(上左)第一期治療終了時の写真です。前歯は折角綺麗に並んだので第二期治療までは細いワイヤーを表から直接貼付けています。
(上中)上の歯はでこぼこも無くなりきれいに排列できました、裏からのワイヤーはそのまま残しました。
(上右)下の歯列も幅は若干ですが広くなりました。
(下左)奥歯の噛み合わせの関係も改善でき、受け口ではなくなりました。
(下中・下右)横顔でも上あごがきちんと前に出てきたことが確認でき、正面からも下あごの横のずれは無くなりました。
この後も第二次成長が控えているため、再び反対咬合になるリスクはあると思います。しかし、第二次成長が終わってからでは大きく骨格的な問題を改善することはできませんので、この時期にやっておく治療が重要なのです。反対咬合(受け口)の治療は一般的に長期に及びます。乳歯の頃から反対咬合があるようであれば、その問題点について早くから認識しておくことが必要です。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して