主訴 |
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診断名 | 上顎前突、叢生 |
装置名 | マルチブラケット装置、矯正用インプラントアンカー |
抜歯部位 | 上顎両側第一小臼歯 |
期間 | 第二期治療 30ヶ月 |
費用 | 1,200,000円 |
治療のリスク | ②-1重度の叢生(デコボコ歯)もしくは顎不均衡の改善、将来的に起こりうる口腔内の変化を減少させる等の理由で、粘膜や骨格および歯に対する口腔外科手術が必要となる場合があります。 |
症例の流れ
(上左・上中)出っ歯、上顎前歯の凸凹歯により食べ物が噛みにくいと相談された患者さんです。上顎歯列が重度の凸凹歯で前歯が過大に傾斜していました。
(上右)骨格レベルでも歯のレベルでも上顎がかなり前方にあります。
また、下顎歯列は凸凹はマイルドなものの、歯列の幅が著しく広いため(下左)、臼歯部のみ反対咬合になっている箇所がありました(下中)。
骨格的な問題も大きいため、顎矯正手術による改善も選択肢の一つですが、本人が希望しなかったことと、手術による改善では後戻りの可能性も高いため、上顎は小臼歯を抜歯した上で矯正用インプラントを用いて歯列全体の遠心移動を計画、下顎は抜歯をせず、なるべく歯列幅径を狭めるように計画しました。
(左)まずは大臼歯の反対咬合を改善するためクワドヘリックス装置を用いて大臼歯の拡大を行いました。
(中)拡大後、上顎臼歯部に矯正用インプラントを埋入してから第一小臼歯の抜歯をしました。
(右)大臼歯の装置の後方に見える金色の三連フックがプレート型矯正用インプラントです。
(上)大きな力を発揮することができ、特に骨格的な不正の多い症例でも手術を避けることが可能になります(症例に依ります)。抜歯により生じたスペースを用い前歯の叢生(凸凹)を解消していき、特に引っ込んでいた右側側切歯を歯列内に取り込みました。
それでもスペースは残ってしまっており(下左)、仮にスペースを全て閉鎖したとしても、出っ歯の印象は無くならないことが予測されたため、歯列全体の遠心移動も継続して行いました(下右)。
矯正治療終了時の写真です(上左)。
あれだけ大きかった出っ歯も解消され(上中・上右)、上顎の叢生(凸凹)も無くなり歯列が整いました(下左)。
下顎歯列も継続的に歯列を整える力をかけたためか幅はあまり小さくなっていませんが綺麗な歯列形態になりました(下中)。
現在、治療終了から3年が経過していますが、大きな後戻りも見られず安定して経過がみられます。
矯正用インプラントは絶対的な力を発揮するため、この症例のように本来、外科矯正手術になるような場合でも手術を避けることができる可能性があります。しかし必ず避けれるわけではありません。また、外科矯正治療の方が遥かに良い結果が得られる場合があります。治療計画についてはご相談を頂ければと思います。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して