主訴 |
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診断名 | 一級叢生、上顎中切歯埋伏 |
装置名 | プレート型拡大床、埋伏歯牽引用リンガルアーチ |
抜歯部位 | 無し |
期間 | 第一期治療 24ヶ月 |
費用 | 450,000円 |
治療のリスク | ③-2重度の叢生(乱杭歯)がある場合、又は欠損歯が複数存在する場合、予想外の治療の長期化や装着した製品等の破損が生じる可能性があります。 |
症例の流れ
(上)永久歯の前歯が顎の骨の中に潜って(埋伏)しまっている事を他院にて指摘され来院された患者さんです。まだ乳歯列で一見何の問題も無いように見えます。
(下左)しかし、レントゲンで観てみると前歯(中切歯)の切縁が鼻腔側を向いており、このままでは生えてこないと思われます。
(下中・右)本来はすぐに正常な位置に生えるように引っ張りだすのですが、生えるスペースが足りないため、まずは歯列を拡大する事にしました。歯列の拡大には取り外しのできるプレートを使用しました。
歯列を拡大することで切歯の向きが変化してくれるのではとの期待もありました。
拡大は1ヵ月に0.5mmずつ、6ヵ月間にわたって行いました。口腔内はあまり変化が無いように見えますが(上)、治療前後の模型を重ね合わせてみると上下とも歯列が拡大されている事がわかります(下左)。
また、拡大を行ったことで埋伏した切歯は若干ですが下方向におりてきているように見え(下中)、横からのレントゲンの重ね合わせでも切歯の位置の変化が確認できます(下右)。
しかし、このままではまだ適切な位置には生えてこないでしょう。そこで装置を固定式に切り替え、埋伏した切歯を引っ張り出すことにしました。近医口腔外科にて歯肉を切開し、埋伏した切歯を露出してもらい装置を装着しました。この装置をリンガルアーチに装着した牽引用フックと繋げ牽引しました(上)。連続写真で追っていくと徐々に生えてきている事がわかります(下)。
治療終了後の写真です。埋伏していた切歯は完全に顔を出しました。後戻り防止のためリンガルアーチはそのままにし、表側からも細いワイヤーで固定しました。
埋伏した歯を牽引してくるには基本、期間がかかるものです。しかし今回は拡大用プレートを効率よく使用することにより牽引に要する期間を節約できました。しかし、どの症例も牽引期間を短くできる訳ではありません。歯を牽引してくる場合は埋伏位置にもよりますが基本的に1本あたり約1年の期間がかかると思っておくといいでしょう。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して