主訴 |
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診断名 | 一級叢生 |
装置名 | ペンデュラム装置、マルチブラケット装置 |
抜歯部位 | 上顎右側第二大臼歯(第三大臼歯を代用) |
期間 | 第一期治療 24ヶ月 |
費用 | 500,000円 |
治療のリスク | ③-2重度の叢生(乱杭歯)がある場合、又は欠損歯が複数存在する場合、予想外の治療の長期化や装着した製品等の破損が生じる可能性があります。 |
症例の流れ
小臼歯が歯列から内側に飛び出していることを主訴に来院された患者さんです(図1)
上顎をみると片側の第二小臼歯が完全に歯列から飛び出し、
しかもスペースも全くありません(図2)
図1
図2 写真に向かって左の第二小臼歯が歯列の内側から生えています
反対側の犬歯も歯列から外側にはみ出しており、
前歯はやや唇側に倒れこみ出っ歯になっています。(図3)
図3 左側は小臼歯が1本内側に入っているので一見きれい、右側は犬歯がはみ出している。
下顎歯列も前歯に若干の凸凹が見られます(図4)
図4
治療方針
患者さんからの希望で歯列からはみ出した第二小臼歯はできるだけ抜きたくないとのことでしたので以下の治療方針を提案しました。
以上を了承してもらい治療を開始しました
図5 ペンデュラム装置
図6 ヘッドギア装置
第二大臼歯を抜歯した事ですぐに取込み用のスペースはできてきました。(図7)
しかし、完全にはスペースの確保が難しかったのでブラケットを装着しサポートしました。(図8)
図7 徐々にスペースがでてきた
図8 右側にもスペースが出てきた、左側が足りない分はブラケットでサポート
反対側も犬歯取込みに必要なスペースを稼げてきたのでブラケットを装着し、歯列を徐々に整えていきました。(図9)
図9 ブラケットを増やしていき、スペースを内鎖、歯列のかたちを整えた。
治療後
治療終了後の写真です(図10)
図10 第1期治療終了時
内側に飛び出していた第二小臼歯は歯列に取込まれました。
出っ歯も改善しております。(図11)
下顎に関しては今回は治療を見送り第二期治療で対応することにしました。
現在はリテーナーを就寝時のみ使用してもらい成長観察中です。(図12)
図11 出っ歯も目立たなくなった
図12 上顎にリテーナーを装着したところ
今後は成長観察と共に第三大臼歯の萌出を見守り、その状況により第二期治療での小臼歯抜歯を判断しようとおもいます。
これだけ歯列から飛び出した歯を取込むには相当時間がかかります。今回は第二大臼歯を抜歯しても1年半かかりました。また、全ての症例についてこのような方法が可能なわけではありません。
ただ、必ず抜歯でなくとも方法は複数考えることができます。どのような治療法が最適か診断時には時間をかけて話しています。全てのリクエストにはお答えできませんがなるべく希望に添う治療法を提案しています。
歯科矯正治療でのリスクや副効果について
歯列不正や不正咬合の改善を目的とした歯科矯正治療にはリスクや副効果が生じる可能性があります。その多くは患者様自身の日常生活に重大な差し障りを与えるものではありません。
しかし、リスクや副効果が生じる可能性があることは事実であり、あらかじめ知っておいて頂く必要があります。また、ご本人からの迅速な連絡を頂く事で、被害を最小限に食い止める事が可能となり、安全な治療を行えます。
①矯正治療の一般的なリスクや副効果について
②歯科矯正治療と併用する治療方法に関して
③患者の素因または治療歴に由来する事柄に関して
④矯正歯科治療の計画および装置装着・使用方法に関して